私にとって最も恐ろしいのは、お母さんです。
大学を休学して上京してきた五年前から通っている精神科の、最初のカルテを見たら私はずっと「頭の中でお母さんの声がする」と言っていたみたいです。
当時は比喩でもなんでもなく母親が私を否定する声が聞こえていました。
幻聴としてでなくともずっと頭の中で母親が私を罵っていました。
ひょんなきっかけから作曲を始め、バンド活動を続けるにつれてだんだん声が聞こえることもなくなり、今では完全に存在ごとなかったように思えています。
ところがここ最近で状況は一変しました。
月末に私が東京大学主催のイベントへ出演すると知り、母親がライブに来ることになりました。
その日は私の家に泊まる予定らしいです。
私が私のために築き上げた私の大事なバンド、私の音楽、大事なメンバー、私の家
全てが母親の査定対象になります。
何を言われるかわかりません。
一番恐ろしいのは客席から母を見つけてしまうことです。
演奏できなくなるかもしれない。
たくさん人が来て客席にいる人の顔を判別できなくなるぐらい埋まることを祈っています。



